昔ながらの怪談が蘇る!昭和の夜長を彩った、背筋も凍るホラーマンガの名作を厳選して15作品を紹介。
懐かしさと新鮮さが交差する、昭和レトロホラーの世界にあなたを招待します。ページをめくる手が止まらない、読むと震える恐怖体験を味わえる作品を厳選しました。
■地獄変 (マジカルホラー 5) 日野日出志
日野日出志は、1946年生まれの日本の漫画家で、ホラー漫画の分野で特に知られています。彼は1967年にデビューし、その後、独特のスタイルで多くの作品を発表し、国内外で高い評価を受けています
衝撃作「地獄変」は、読者を暗く深い恐怖の世界へと誘います。この物語は、地獄をテーマにした詩の一節に触発され、日野自身を模した地獄画家の内省的な独白から繰り広げられます。彼の描く地獄絵図は、自らの血を混ぜた絵の具で描かれるという、作者の過去の作品「黒の奇病」にも通じる強烈なモチーフを持っています。
エンターテインメントの記事として、このマンガはただのホラーではなく、作者の深い内面を映し出す作品として紹介されています。日野の描く世界は、ギロチンで首を切られる処刑や、火葬場、死体が浮かぶ川など、目を背けたくなるようなシーンで満ちています。
■蔵六の奇病 日野日出志
「蔵六の奇病」は、昔のある国で起こった物語です。頭が弱い農夫である蔵六は、絵を描くことが大好きでした。ある日、彼の体に七色のできものが現れ、そのできものから七色の膿が流れ出します。蔵六はこの膿を絵の具として使い、絵を描き続けます。病気が進行し、彼の外見は怪物のように変わってしまいました。
蔵六の兄である太郎は、蔵六を森の中のあばら屋に移し、村人たちは蔵六の悪臭に耐えかねて彼を殺そうと計画します。しかし、実行に移す雪の日、蔵六の姿はなく、代わりに七色の甲羅を持つ美しいカメが現れます。このカメは、死期を悟った動物たちが集まる「ねむり沼」に潜り、二度と姿を現しませんでした。
この物語は、社会から疎外された人間が芸術を通じて慰めを見出す様子を描いており、グロテスクながらも美しい物語です。孤立、芸術の変容力、無知の残酷さといったテーマが織り交ぜられています。
■七年目のかぞえ唄 曽祢まさこ
曽祢まさこ(そね まさこ、1951年4月21日生まれ)は、日本の漫画家で、三重県伊勢市出身です。彼女は1970年に「手錠はおどる」という作品で第4回講談社少年少女新人漫画賞において佳作を受賞し、デビューしました。
『七年目のかぞえ唄』は、曽祢まさこによる漫画作品で、主人公のセシリーが幼い頃に父親を事故で失い、心を閉ざしてしまうというストーリーです。7年後、継母のもとに戻ったセシリーは、変わらない子ども部屋を開けたことから、子どもの幽霊が現れ始めます。この幽霊は、セシリーが7年前に経験した辛い記憶が具現化したもので、彼女は過去の自分を受け入れて前に進むことを決意します。セシリーを取り巻く人々、特に彼女を愛するサミィとの関係も物語に深みを加えています。
セシリーが病を克服し、家に帰ると、遠い親戚であるサミィは彼女の帰還を喜びます。しかし、セシリーは自分の過去の部屋に不安を感じ、その部屋を開けたことで恐ろしい事件が起こり始めます。
■『不思議の国の千一夜』 曽祢まさこ
『不思議の国の千一夜』は、女の子ばかりを産む王様と、男の子しか産まれない家系の女性との間に生まれた女の子、セブランの物語です。セブランは男の子として育てられ、16歳で女性であることが露見しかけた時、神馬ヘンデク=アトラタンを探す旅に出ます。旅の途中で王女ミルテに恋をし、呪いによって男性に変わったセブランはミルテと結婚します。その後も冒険が続き、最終的には子供が生まれて物語はハッピーエンドを迎えます。この作品は、冒険とロマンスを軸に、性別のアイデンティティや運命を変える力を描いたファンタジーです。
■恐怖新聞 つのだじろう
つのだじろうは1955年に「新・桃太郎」で漫画家デビューを果たし、以降、多岐にわたるジャンルの作品を生み出してきました。彼の代表作には、『恐怖新聞』や梶原一騎原作の『空手バカ一代』、『うしろの百太郎』などがあります。
恐怖とサスペンスの名手、つのだじろうが描く『恐怖新聞』は、読む者を未知の恐怖へと誘う漫画の金字塔です。物語の中心にいるのは、超常現象など信じない現実主義者の中学生・鬼形礼。彼の日常は、突如として届く未来を予告する「恐怖新聞」によって一変します。この新聞が予言するのは、翌日に起こる出来事。だが、この新聞を読むたびに彼の寿命は100日縮まるという恐るべき代償を伴います。
鬼形が体験するのは、ただの予言では終わらない、予告された通りに実際に起こる超常現象の数々。彼はまるで超常現象の申し子のように、次々と不可解な事件に巻き込まれていきます。
■学園七不思議 つのだじろう
『学園七不思議』は、つのだじろうによるホラーマンガで、1986年から1989年にかけて連載されました。異なる学校の七不思議を描いた一話完結形式から始まり、後に特定の学校を舞台にしたシリーズ形式に変わります。アニメ版は1991年から1992年に放送され、原作の一部をアニメ化し、オリジナルエピソードも加えられました。物語の中心は霊感が強い女子高生・一条みずきで、彼女と仲間たちは学園で起こる怪奇現象に立ち向かいます。自殺や事故をテーマにした悲惨なエピソードが多く、アニメ版では原作からの変更点も見られます。
■魔百合の恐怖報告 山本まゆり
『魔百合の恐怖報告』は、霊能者寺尾玲子の実体験を基にした心霊コミックです。シリーズには、怪奇現象や生霊に関する相談者の話が収められており、特に血筋や呪術に関連する霊的な問題がテーマです。『巣作りの女』という作品では、特殊な霊道に悩まされる家族や、他人の夫を奪う女性など、じんわりと不快感を覚える話が描かれています。これらの物語は、現代社会における信仰心の希薄化と負の存在の台頭という社会問題にも触れています。
■「霊能者緒方克巳シリーズ」 山本まゆり
このシリーズは、心霊にまつわる事件を解決する大学生、緒方克巳を主人公としたホラー漫画です。緒方克巳は霊視の能力を持ち、闇の底でさまよう霊を光に導く役割を担っています。シリーズには複数の短編が含まれており、それぞれに独自の怖さとシュールなユーモアが織り交ぜられています。
例えば、「呪いの招待状」では、存在しないはずのクラス会幹事からの招待状が物語の発端となります。また、「光と影のオーラ」では、霊感を持つ少年の危機に緒方克巳が霊視で立ち向かいます。他にも、「身代わり婿」では、若い男性を生贄に捧げる村の風習や、「待つ女」では、心療内科医を待つ女性の物語が描かれています。
読者は、緒方克巳が霊能者として成長し、様々な心霊事件を解決していく過程を追いながら、ライトなホラーの楽しさを味わうことができます。
■逢う魔が時 はざまもり
夕暮れ時、世界が青白い闇に包まれるその瞬間、人々の心には無数の魔が忍び寄る…。そんな言い伝えが息づく街に、名門音楽学校の才女・葵がいました。彼女の日常は、恋人・正樹との深夜デート中に一変します。林の奥深く、彼らは不気味な人影を目撃してしまうのです。この出来事がきっかけで、葵の周りでは奇妙な現象が頻発し始めます。
この物語を紡ぐのは、人気少女コミック作家・はざまもり。彼女の手によって生み出されたのは、ただのオカルト作品ではありません。葵と正樹の運命は、そして見えない恐怖との対峙は、一体どんな結末を迎えるのか…。息をのむ展開が、あなたを待ち受けています。
■霊感占い殺人事件 はざまもり
イラストレーターとしての才能とインチキ霊能者としての肩書を持つ水森奈々。しかし、彼女の日常はある日、予期せぬ出来事によって一変します。有名な霊能者である祖母の血を引く奈々が、真の霊能力に目覚める瞬間を、中河原恭介という謎多き霊能者が引き出すのです。
突如として奈々のもとを訪れた女性の自殺。その背後には、古くから伝わる丑の刻参りの影がちらつきます。一見、自殺と思われたこの事件の背後に隠された真実とは一体…?奈々は新たに芽生えた霊感を武器に、この謎を解き明かすことができるのでしょうか。
「霊感占い殺人事件」をはじめとする4つの物語が、読者を霊感あふれるミステリーの世界へと誘います。霊能力と推理が交錯する、これまでにないスタイルの物語がここに。霊感と筆先が導く、未知の真実をあなたも体験してみませんか?
■口裂け女伝説 犬木加奈子
『口裂け女伝説』は、犬木加奈子による作品で、口をマフラーで隠した謎の女性による恐怖に怯える少女・桜の物語です。学校では口裂け女の都市伝説が語られ、教師は「ポマード」という言葉で怪物を追い払うという話をします。桜は不気味な女性に恐怖を感じつつも学校に戻りますが、その女性は桜の家の近くに潜んでいて、桜の友達がさらわれる事件が起こります。教師はその女性が妊娠しており、特定の匂いを嫌うという噂を思い出しますが、最終的には学校での悲劇に巻き込まれます。物語は、口裂け女が自分の子供を探しているという噂で終わります。この作品は、日本の都市伝説を背景にした恐怖を描いています。
■富江 伊藤潤二
『富江』は伊藤潤二によるホラー漫画で、不死身の美女・富江が中心です。彼女は死んでも体の一部から再生し、人々を狂気に陥れる力を持っています。物語は富江の死体が発見されるところから始まり、彼女の死を悼む友人や教師が彼女の復活によって恐怖に直面します。シリーズは富江の魅力に取り憑かれた人々が破滅する様子を描き、その恐ろしい影響を示しています。漫画は映画やドラマにもなり、ホラージャンルで広く知られています。
■屋根裏の長い髪 伊藤潤二
「屋根裏の長い髪」は、伊藤潤二によるホラー短編集の中の一作で、1987~88年に初出されました。この作品は、失恋により心を痛める女性が、自らの長い髪を妹に切ってもらおうとするシーンから始まります。しかし、妹がハサミを探している間に、女性は何者かによって頭部を切断されてしまいます。その後、亡くなった女性の頭部が屋根裏で発見されるという恐ろしい展開になります。この物語は、髪が女性の命であるという言い伝えをモチーフにしており、髪の毛を題材にしたホラーとしての恐怖を描いています。
■『黒百合の系図』 美内すずえ
美内すずえのホラー漫画「黒百合の系図」は、主人公・安子が母の不可解な死と家族の呪いの謎を解き明かす物語です。母の故郷である鬼姫谷を訪れた安子は、飛龍家にかかる古い呪いとその起源に直面します。戦国時代にさかのぼるこの呪いは、松永家の姫・千夜姫と関連があり、彼女の死後も飛龍家に不幸をもたらし続けていました。安子と記者の源太郎は、呪いを解くために首塚を見つけ、千夜姫の角が原因であることを突き止めます。最終的に呪いを断ち切り、安子は新たな人生を歩み始めます。この作品は、家族の秘密、歴史的背景、そして超自然的な要素が織り交ぜられた、緊張感あふれる物語です。
■『妖鬼妃伝』 美内すずえ
『妖鬼妃伝』は、美内すずえによるホラー漫画で、主人公のつばさが友人のたえ子と一緒にデパートで不可解な人形展に迷い込むところから物語が始まります。たえ子が不気味な人形展で忘れ物を取りに戻った後、謎の死を遂げます。つばさはたえ子の死の真相を突き止めるために、もう一人の友人くみと共に調査を始め、盲目の霊能者である九葉と出会います。彼らはデパートの従業員が関わる妖鬼妃の千年祭というカルト的な儀式に巻き込まれ、人形に魂を移すことで不老不死を得る秘密を知ります。物語は、妖鬼妃との対決と、人形が燃える火事からの脱出を描いています。
また、同じ巻に収録されている別の短編には、学校の特定の席にまつわる霊的な現象に直面する『白い影法師』と、砂漠の町で起こる奇妙な現象を追う『みどりの炎』が含まれています。これらの物語は、美内すずえの幅広いストーリーテリングの才能を示しています。
まとめ
昭和の名作ホラーマンガ15選を通じて、時代を超えた恐怖のエッセンスを再発見しました。これらの作品は、ただ怖いだけでなく、当時の社会背景や人々の心理を巧みに反映させています。
レトロな魅力溢れる画風と独特のストーリーテリングで、今もなお多くの読者を魅了し続けるこれらの傑作を電子書籍で今一度じっくりご覧になられてみてはいかがでしょうか。
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