『宝石の国』 第107話最新話ネタバレ考察感想 これまでのフォスの変化から読み解く。

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次回第108話で完結する宝石の国。第107話はまさにクライマックスだったのではないでしょうか。

フォスの最後についてネタバレ有りです。まだ本編を見ていない方はネタバレ注意です。

目次

最新話第106話、107話ネタバレあらすじ

岩石生命体や金剛の兄機と共に平穏な生活を過ごしていたフォス。しかし太陽の膨張により星ごと消滅する事態となる。

兄機の足に絡みついていたものが、地上脱出用の乗り物だった。皆でその乗り物に乗り込むもフォスはひとり地上に残るという。

フォスは自身の中に溶け込んだ人間と共にここで終え、人間の根絶という仕事を完成させるという。それは博士や月人の永きにわたる願いだった。

兄機は「フォスから人間が再誕する可能性は軽微」だから一緒に行こうというが、全ての憂いを断つために、やはり自身は残ることを決める。

強制的に乗り物を起動させるフォス。しかし、最後に兄機は、戻ってきてフォスの体の中から「にんげんのいないところ」を取り出した。「連れてくぜ」という兄機に「あなたを信じます」と返したフォス。

乗り物の中で、フォスのかけらが揺れ始める。岩石生命体や兄機たちは、フォスをかけらを「一番小さい弟」と呼び大切にしようと言う。

星を脱出した兄機たちはとある星に不時着する。そこはキレイな花が咲き誇る美しい星だった。

そして残ったフォスは、今までの進化の過程を遡るようにその身は焼かれ跡形もなく消えていった──。

フォスは死んでしまったのか

まずフォスのこれまでを振り返ってみます。

何もできないフォス

物語の始まりでは、フォスは何もできない無力さと自身の脆さに悩んでいました。しかし、その無邪気で明るい性格と、自分も戦いに参加したいという強い願望が描かれています。

貝殻とアゲートの足を手に入れる

フォスの最初の大きな変化は、海での任務中に足を失い、アドミラビリス族の貝殻とアゲートを新たな足として接合されたことでした。この変化により、フォスは俊足になり、見回りの任務に加わることができるようになります。

金と白金の腕を手に入れる

その後、フォスは冬の任務中に流氷に落ち、両腕を失います。アンタークチサイトとの共同作業により、金と白金の合金が新たな腕としてフォスに接合されました。この合金はフォスに新たな強さを与え、月人との戦いにおいて一定の自信を持たせました。

ラピスラズリの頭部を接合

さらに、フォスは月人との戦いで頭部を失い、ラピスラズリの頭部が接合されます。この変化により、フォスはラピスラズリの知性を継承し、より賢くなりましたが、102年間眠り続けることになります。そして知性を手に入れたからこそ、先生を疑うようになります。

月に行って真実を知る

月の王子エクメアと出会い、金剛先生の正体を知ります。金剛先生の「祈り」を実行するために、先生を裏切ることをエクメアに提案。月の合成真珠を左目に埋め込まれます。

宝石たちに復讐を誓う

いつしかフォスは宝石たちに復讐心を抱くように。その外見は歪で恐ろしさすら感じさせます。さらにシンシャの水銀を取り込んだことで、肌を手に入れ、まさに人間の姿となります。

金剛先生の右目を取り込む

金剛先生の一部を自身に埋め込むことで、さらなる力を手に入れました。最終的に、フォスは宝石の原型を失い、人間を超越した存在へと変貌を遂げます。

フォスは元々純粋な無機質な物質でした。

しかしその脆さ故に、体をたびたび欠損し、そのたびに他の宝石たちの体やアドミラビリス族の貝殻を取り込み進化します。飛躍的に身体能力は伸び続けますが、特にラピスラズリの頭部を変えたことにより、知識を得て様々なことを考察する余地が発生。

このことにより「金剛先生に疑問を持つ」という今まででは考えられなかった思考をするようになります。そして後に、月人からの監視用左目を取り入れた後は、手段を選ばない冷酷さも加わったような気がします。

フォスは着実に「人間」に近い存在となっていったのです。

ここで振り返りたいのは「そもそも宝石とは何なのか」という点です。

元は「祖なる動物」=人間で、隕石に落下により「魂と骨と肉」の3つに分かれました。

  • 月人はその「魂」の変異体。
  • 宝石は「骨」。
  • アドミラビリス族は「肉」。

月人は無に帰るために必要な「祈り」を求めています。当初は、「魂」が月人なら、もっとも人間らしいのは月人なのだと思っていました。実際に月人は、フォスたち宝石の国を散々襲って、宝石たちを奪っていきました。まさに欲深い「人間」そのものだなと。

しかしストーリーが進むにつれて、月人は欲のために宝石たちを襲っているわけではないことがわかります。彼らはむしろ「欲」とは正反対の「無」に帰すために宝石たちを襲っていたのです。

具体的には、金剛先生の「祈り」を実行させ、自分たちが成仏するためでした。

宝石たちも月人と同じく不老不死です。しかし彼女らは成仏を望むことなく、金剛先生との幸せな日々を享受しています。彼らはそれぞれに個性があり、金剛先生を愛し、ある時は他の宝石を激しく嫉妬し喜怒哀楽があります。

そう考えると、宝石たちは月人よりも人間に近しい存在なのかもしれません。

フォスは最初はとても弱い無力な宝石でしたが、「自分も戦いたい」「誰かに認められたい」という承認欲求をもった宝石でした。

しかし力を手にし、知識すら手に入れ月人により左目を交換されると、あの金剛先生を裏切ります。

アドミラビリス族の「肉」=アクレアツスの貝殻、月人はその「魂」=月の合成真珠、を取り入れたフォスは「魂と骨と肉」が混じり合い、まさに人間そのものと変貌していきました。

月人を成仏させられる存在=菩薩とすると、金剛先生=菩薩の右目を取り組んだフォスはさらに人間ではなく神に近い存在となったといえます。

気になったのが、第106話で、フォスは「先生」や「月の役人」を善と呼びました。

人間は善と悪 知と愚 美と醜が混在します。

月人が善なら、悪はなんなのか。そうなるとより俗人的な宝石たちの中に「悪」が含まれているのかもしれません。

フォスは死んだのか

第107話で、フォスの身が焼かれていく際にこの進化の過程が剥がされていく描写があります。

シンシャの水銀の肌は剥がされ、最終的には物語冒頭の純粋なフォスの笑顔が見れました。

フォスは「人間」を体に含んだまま消滅していきます。「みんなに会いたいような」というフォスのセリフは、かつて優しくて間抜けなフォスの心を取り戻しています。

フォスがかつての仲間たちを粉々に打ち砕いていく展開に読者もつらかったのではないでしょうか。

しかし結果としてフォスは、金剛先生や月人たちを救いました。同時に目的のためなら他者を犠牲し、宝石たちに復讐した「業=カルマ」も背負って燃え尽きます。

人間を抱えたまま、フォスは「死んだ」とも言えます。博士の意思「橋を燃やす」を実行したのです。

これではフォスがあまりにもかわいそうとも思います。ただ、無力だったことを嘆いていたフォスが全員を成仏させるとてつもない仕事を成し遂げます。そういう意味ではフォスは満足して成仏したのではないでしょうか。最後を笑顔で迎えます。

フォスのかけらは極楽浄土にたどり着いた?

直前に金剛の兄機に「人間のいないとこ」を託しています。

これは残っていた「フォスフォフォライトのかけら」です。このかけらには人間が含まれていないことは兄機が確認しました。これは物語冒頭の頃のフォスの分身ともいえます。つまりフォスはまだ死んでいないのかもしれません。

確かにこのかけらには「人間」はいないかもしれません。

しかしフォスは宝石たちを取り込み、人間と化したこれまでの経緯があります。宝石の中に「悪」といえる部分が少しでも含まれていたら、また過ちは繰り返される可能性もあるのではないでしょうか。

ただし新しい世界で、兄機や貝たちの愛情に囲まれているかぎり、人間化するようなことはないからこそ、最後にフォスは「あなたを信じます」といい、かけらを託したのかもしれません。

最後に兄機たちが不時着した星に咲いている花は「蓮の花」でしょうか。もしかするとこの星こそがフォスたちにとっての極楽浄土となるのかもしれません。フォスは輪廻転生したのかもしれません。最終回の結末がとても気になります。

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この記事を書いた人

漫画やアニメの考察記事を書いてます。元ライターで現在は複数のサイトを運営。

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