宝石の国とは?月人の謎について考察
宝石の国とは
『宝石の国』は、市川春子によるマンガ作品で、人間が消えた遥か未来の地上を舞台に、宝石の身体を持つ28人のキャラクターが月から来る「月人」と戦う物語です。
フォスは金剛先生の指示で博物誌を作成し、アドミラビリス族のウェントリコスス王から宝石たちの起源を学び、宝石、月人、アドミラビリス族の探求を始めます。
月人の正体とは?
『宝石の国』に登場する月人は、宝石たちを狙う謎多き存在です。
- 身体は柔らかく、簡単に霧状に変化するが、損傷からの復活は容易。
- 月人は普段の生活では人間と変わらない姿をしており、月の都市に住む。
- 外見を変化させる能力を持ち、寿命や老化、生殖能力の概念がない。
- 見た目の性別は体躯のバリエーションに過ぎない。
月人の正体は、かつて存在した人間が分かれた3属のうちの一つです。人間は星が欠けたときに「骨」が宝石、「肉」がアドミラビリス族、「魂」が月人に分かれたとされています。
月人は人間の魂の変異体であり、魂の分解がされないまま月に残っているため、祈りによって無になりたいと考えている存在です。
この起源により、月人は人間の魂の特性を持ちながら、独自の存在として描かれています。彼らの謎めいた行動や思考は、物語において重要な役割を果たしています。
月人の外見的特徴 仏像みたい?
同じ顔、髪型、服装の謎
月人は仏像や天女のような姿で不死身であり、人間と同様の生活を送るものの、その永遠の繰り返しを苦痛に感じています。
彼らは「祈り」によって無に帰ることを望んでおり、そのために宝石の国の宝石たちをまとめる金剛先生に交渉を試みましたが、願いは叶わず、結果として宝石たちを攫って金剛先生に圧力をかけるようになりました。
月人がなぜ宝石たちを襲うのか
月人が宝石たちに絶えず攻撃を仕掛ける理由は、彼らが人間の魂の変異体であり、無に帰るためには金剛先生の「祈り」が必要だからです。しかし、金剛先生が祈りを行うことを拒否したため、月人は宝石たちを襲撃し、彼らを祈らせるための動揺を引き起こしています。
金剛先生が「祈り」を拒否する理由は、愛する宝石たちを守るためです。というのも、月人が望むのは、月人、宝石、アドミラビリス族すべてが「無」に帰すこと。
金剛先生は宝石たちを守るために、自身の役割を放棄し、宝石の国を作り上げたというわけです。
月人は地上が苦手!?
月人は高度な科学・機械文明で暮らしており、息を止めているほど、地上の大気が苦手です。
彼らのこの特性は、戦闘中に息の漏れる音をフォスが聞き、「月人は会話ができるかもしれない」ということになりました。月人のこの特性は、彼らが地上ではなく、月で生活する理由とも関連しています。
エクメアとは一体?正体と目的について
エクメアは『宝石の国』に登場する月人の指導者的存在で、月人たちが地上で暮らす宝石たちを連れ去るために頻繁に兵力を差し向けています。
彼の正体や目的、特にカンゴームとの関係は物語の中で重要な謎の一つです。エクメアは冷静沈着で、優れた頭脳と指導力を持ち、フォスは彼の性格を「狡猾残酷」と評しています。自らを「誰の祈りも得られなかった個体」「クズの成れの果て」と酷評し、この呪いから早く仲間たちを開放したいと願っています。
エクメアは金剛の祈りを得るために宝石の拉致をはじめとする様々な方策を弄してきましたが、効果が見られず手詰まりに陥っていました。そこへフォスが宝石として初めて月へ乗り込んできたため、彼を歓迎し、金剛に対する宝石の裏切り計画に賛同します。
王子と呼ばれるエクメアの謎
エクメアは月人の中でも特に謎が多いキャラクターです。彼は月人のリーダーであり、月人たちからは「王子」と呼ばれていますが、これは王家に由来するものではなく、エクメアに対する特別な呼称として月人からそう呼ばれているだけです。
エクメアの真の目的は金剛先生の「祈り」という能力にあります。「祈り」とは魂を分解することができる能力を指し、月人が「祈り」を求める理由は、安寧の地に行くためです。安寧の地へ行くためには、分解された魂でなければならず、「祈り」の力で魂を分解してもらおうというわけです。
しかし、金剛先生が祈ることを辞めてしまったため、月人は金剛先生と一緒にいる宝石たちをさらって動揺をさせて、否が応でも祈らせようと襲撃を繰り返しています。
エクメアの正体と目的とは
エクメアは本来、優先的に「祈り」を得ることのできる地位にいたことが分かっています。しかし、数少ない「祈り」のチャンスを得た月人たちは、「祈り」を得る順番を決めるため、格差社会を導入しました。
運悪く、最下層に振り当てられた月人たちは、月のクレーターにひとまとめにされ、「クメラ地方」と呼ばれる無法地帯となりました。そこでエクメアは、見捨てられたクメラの人々に対し、必要なものを教えてほしいと話しかけます。
エクメアという呼び名は呼称で、エマの肩書「エマ=クメア地方長」がこなれてエクメアとなったものでした。そして、エクメアはその名の正確な発音を「エンマ」と訂正します。真意はわかりませんが、あの閻魔様てきなニュアンスも含まれているのではないでしょうか。
宝石の国 月人化とは
宝石が月人になる?
月ではメシストが宝石を月人化する装置を開発しました。この装置は宝石のインクルージョンから情報を抽出し、月人と同じ組成の体に変換する機能を持っています。 一万年の時間を経て、アドミラビリスも含めた三族が月人化し、覚醒したフォスの前に集結します。
修復不可能とされていたアンタークも修復されて、月で生活を共にします。
宝石たちが新しい月人として個性を伸ばしていく様子が描かれています。しかしこれはつかの間の幸せであったといえます。
月人は最後どうなった?
月人の策略により、フォスは人間に似た存在へと変化させられました。これは、月人が成仏するためには人間や菩薩の祈りが必要だと考えられているからです。
結果として1万年の孤独の中で、フォスは強制的に悟りを開かされ、地球で唯一生き続ける存在となりました。その間、かつての仲間たちは月で新たな生活を楽しんでいました。
1万年後、菩薩のような存在となったフォスは、月人を含む、他の生命体を成仏させるために祈りを捧げました。その結果、フォス以外の全ての生命体が成仏し、最終的にはフォスだけがこの世に残されることとなりました。
エクメアたちは目論見通り「成仏」することできたと思われます。
しかし、元宝石たちを含め、本当にこの世から消えてしまったのかはまだわかりません。
まとめ
宝石の国は「第108話」で完結するのではという説もあります。これは煩悩の数が108個あるからという理由です。本当かはわかりませんが、物語が佳境にあることは間違いないでしょう。
個人的には、元宝石たちも復活してフォスとともに幸せになって欲しい展開になってほしいのですが……この漫画は仏教をモチーフにしていて話のスケールが非常に大きいのでそんなシンプルな展開にはならないのかもしれません。
それでもフォスの境遇を考えるとあまりにもつらいので、どういった形であれ最後にフォスに幸せになって欲しいですね。
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