開示請求も他人事じゃない!?誹謗中傷がテーマの漫画『しょせん他人事ですから ～とある弁護士の本音の仕事～』の魅力をネタバレ紹介

今回ご紹介する『しょせん他人事ですから ～とある弁護士の本音の仕事～』は原作・左藤真通、作画・富士屋カツヒト、監修・清水陽平の弁護士漫画です。

ネット上でママ友の悪口を書いた主婦宛に、ある日突然発信者情報開示請求の書類が届く。最近話題になった広告ですが、SNSが身近の存在となった現代だけに、ドキッとした人も多いのではないでしょうか。

主にネットの誹謗中傷がテーマとして描かれており、どこか一癖あり食えない弁護士「安田理（やすだおさむ）」が数々の被害者の相談を捌いていく。決して他人事ではないだけにその生々しいやりとりは見る者を惹きつけます。

あらすじ

第１巻あらすじ

ネット炎上・SNSトラブルに遭ったことはありますか？　いわれのないガセネタで炎上して誹謗中傷の的になってしまったブロガー主婦が弁護士の無料相談所へ。出会った弁護士はネット案件に強いみたいだけど、だいぶ変わり者…？　誰もが今日にも被害者に、そして加害者になる、現代の闇！　他人事ではいられない誹謗中傷＆情報開示請求のリアルドラマが幕開けです！

第２巻あらすじ

芸能人がネットで炎上したらどうなる！？　過去の「いじめ加害動画」が流出したアイドルユニット「ヌーヌー」のリオとリホ。だがそれは全くのデマ動画！　にも関わらず大炎上・大批判、そして殺害予告まで…。芸能活動が全ストップし、リホは心労でダウン。リオは怒りをエネルギーに「仕返し」を計画する！　「芸能人のネット炎上編」スタート！　誰もが今日にも被害者に、そして加害者になる、現代の闇！　他人事ではいられない誹謗中傷＆情報開示請求のリアルドラマ！

第３巻あらすじ

人気芸能人ヌーヌー炎上編クライマックス！　「情報開示請求をやめたい」と保田に電話したきた、双子の妹・リホ。誹謗中傷に最も苦しむ彼女がなぜ？　日本中で連日の話題となってしまったヌーヌー炎上騒動の決着はどこにある！？　そして「改正プロバイダ責任制限法を学ぼう！」2022年3月時点の総務省令案が発令されたタイミングで執筆した「情報開示請求の最先端」がここに！　新シリーズは「未成年者のネットトラブル」で加害者は中学生男子！？　誰もが今日にも被害者に、そして加害者になる、現代の闇！　他人事ではいられない誹謗中傷＆情報開示請求のリアルドラマ！

登場人物

保田理（やすだ おさむ）

どこか人を食った印象のある一癖ある主人公の弁護士。「しょせん他人事ですから」その言葉からもわかる通り相談者に対して親身になることはなく口コミもひどいもの。しかしいざ仕事を引き受けるとその実力を見せる。

加賀見灯（かがみ あかり）

保田の相棒ともいえるパラリーガル。保田とは対照的でまともな性格をしている。

桐原こずえ（きりはら こずえ）

セレブ妻ブロガー。デマや誹謗中傷の書き込みで自身のブログが炎上してしまう。

木下優里香（きのした ゆりか）

桐原こずえとママ友。同じマンションに住んでいるが
桐原ブログに誹謗中傷して炎上させる。ある日突然開示請求の手紙が届くが……。

SNSは現代社会の闇!?加害者に突然突きつけられるリアルがそこにある

本作品は、ネット上で発生する炎上や中傷といったトラブルに巻き込まれた人々の法的相談を受ける弁護士、保田理と彼の補佐である加賀見の活躍を描いたマンガです。保田弁護士は、感情に流されることなく事実の重要性を考慮し、相談者に対しても本音で率直な意見を伝える冷静な人物です。ただし、彼の本音は相談者のために役立つことが多く、法的手続きを通じてトラブルを解決していきます。

このマンガの魅力は、実際に起こりうるネットトラブルの事例や、法的観点から理解しやすい対処法などを分かりやすく解説している点です。また、保田弁護士という個性的かつ魅力的なキャラクターと相談者や加賀見とのやりとりが面白く描かれている点も注目に値します。そして、このマンガは実際の弁護士である清水陽平さんの監修の元に制作されており、法律的な内容にも高い信頼性があります。

本作品は、私たちが生きるネット社会において、新たな情報や知識を得ることができるだけでなく、人間ドラマとしても楽しめる傑作となっています。保田弁護士の率直な意見や取り組みにぜひ注目してください。

あっという間に拡散して炎上する恐怖。「みんながやっているから」は免罪符にならない

匿名でなんでも書けてしまうSNSは現代社会の闇ともいえます。数ある弁護士物の漫画や小説の中でも”ネット上の誹謗中傷”を主なテーマにしているのが本作の特徴。それだけに悪口を書かれた有名ブロガー側だけでなく、誹謗中傷で訴えられる主婦側の視点でも描かれている本作は妙に生々しいです。

というのもプロバイダからの開示請求や物件差し押さえなど、詳細な法的手段について描かれているためリアリティがあるゆえでしょう。ちょっとした勉強にもなります。

第１巻では誹謗中傷された有名ブロガーが軸となりますが、第２巻ではデマ動画をでっちあげられたアイドルユニットが軸となります。まさに時世を沿った内容で興味をそそられる方も多いはず。デマがあっという間にSNSで拡散される恐ろしさや、”やったのは私だけじゃないのに”そんな加害者側の真理が描かれている点も面白い。

「みんながやっているから」大した罪ではないと認識していた加害者。突然突きつけられる現実に、読者もスカッとしつつも戒めにもなるのではないでしょうか。

敏腕だけど一癖ある主人公の弁護士保田も、いざ仕事を始めると頼もしさを見せたりギャップがあるのも良いです。

本作品は、私たちが生きるネット社会において、新たな情報や知識を得ることができるだけでなく、人間ドラマとしても楽しめる傑作となっています。保田弁護士の率直な意見や取り組みにぜひ注目してください。