『村祀り』は、山口譲司(作画)、木口銀(原案協力)により描かれたダーク伝奇漫画。
日本の伝統文化や民俗学を題材にしながらも、サスペンスやホラーの要素も盛り込んだ作品だ。
流浪の学者、三神が異国のブローカーのホーライと蛇神を信仰する「忍冬村」を訪れるところから始まる。
この時点で「ホラーサスペンスミステリー」好きならピンとくるかもしれない。表紙から察するにエロ描写も結構ある。まさに主人公たちが閉ざされた古い因習が残る田舎の村を訪れ事件に巻き込まれる──ある意味テンプレ通りの漫画ではあるが、ドラマでいうと『TRICK』ノベルゲームなら『ひぐらしのなく頃に』が好きな方なら楽しめるのではないだろうか。
◆『村祀り』1巻 スイカズラの村 見どころ ネタバレあらすじ
陽菜子の先輩である「水主」はその村出身だった。水主は蛇を祀る巫女をしている。宴会の場で村長から三神は本当のおもてなしはこの後にある、と伝えられるが……実は「忍冬村」には部外者を若い娘との一夜でもてなす因習が残っていた。そしてその若い娘とはおへび様ををおろす巫女、つまり水主だったのだ。
陽菜子の連れだった惇輝は水主と親交を深めるために「忍冬村」を訪れたゲスだった。そんな惇輝は村長に民家の一室へと呼ばれる。
なんとそこには透き通るような薄地の着物を着た水主が待っていた。吸い込まれるように水主に抱きつく惇輝。お勤めとして水主は陽菜子の連れだった惇輝とのSEXを受け入れ、一夜を共にするのだった。その姿を影から見る人影が一つ。水主の妹耶々だった。
水主は妹の耶々を守るため自らを犠牲にしていたのだった。自分が逃げても妹が身代わりとなり巫女をやらされてしまう……。しかし妹共々逃げれば良いのでは?そんな疑問を生じるが、あることが理由で村からは離れられない。そしてあるものを見てしまった惇輝は村長に殺されてしまうのだった……。
本作は民俗学をベースに歪んだ伝統、そして村という閉ざされた世界で繰り広げる惨劇が繰り広げられる。”蛇”を祭り上げる村独特の風習を独自の視点で観察する主人公三神。三神は惇輝と同様水主と寝る機会があったが、水主を襲うこともなく、救いの手を差し伸べた。その髭面の風貌からは想像できないが、意外に紳士的な性格な三神が謎を解いていくストーリーがおもしろい。
◆『村祀り』2巻 冥洞の村 見どころ ネタバレあらすじ
ある目的のために廃坑へとやってきた三神。廃坑に向かう途中である美女と出会う。女は青山といい大学で鉱山の研究をしているという。ちょうど先にある「狸穴村」に用があるため二人で村へと向かうことに。
どうやら青山の師は行方不明となった大学教授である花岡とのことだった。花岡を探しにかつての調査地を訪れたという。その後近くで花岡が事故死したことを報道で知ることに。村長は花岡から預かっていたものがあることを告げる。
セミの置物と坑道の地図だった。結局青山と二人で探索することになった三神だったが……坑道の中で急に発情し言い寄ってきた青山に押し出されるかたちで、穴から落ちてしまう。
たまたま軽症で済んだ三神はキヨシと名乗る小人に助けられる。キヨシの名字は刑部といい村長と同じだった。障害児として生まれたキヨシは村長から隠された存在として坑道の中で生活を強いられてきた。そのキヨシは花岡の死を目撃していた。そして彼が死に際に持っていたペンダントを邪険に扱う青山を見て、花岡の死は青山に原因があると推測した三神。
突然の振動により洞窟内が崩れ始める。三神は咄嗟に逃げたが青山は酸を浴びて逃げ遅れてしまう。まさに金に溺れた女には悲惨な末路が待っていたのだった。
テンポよく読めるストーリーに、見かけによらず欲深い青山のサービスシーンなどもある。短編ごとに話が完結しており、淡々と小気味よく読み進められる。2巻はこのほか「黒仏」という謎の仏像の話も収録されている。
◆『村祀り』3巻 海蜘蛛の村 見どころ ネタバレあらすじ
落人の宝を求めて三神がホーライとある島を訪れた。そこで峰田という美女と出会う。峰田と三神は浜に打ち上げらた気味の悪い遺体のようなものを目の当たりにする。
その遺体は、村の住人いわくただの人形だというが……峰田はその手足の長い人形のようなものに見覚えがあり怯える。実は峰田は無人島で彼氏といるところを不良達に襲われた際、手足が長い化け物たちが不良のクビを切り飛ばして助けられていた経緯があったのだ。
真相を探るべく、三神たちは男子禁制の島があることを知り、潜入する。そこで目にしたのは竹馬を両手両足に装着した奇妙な姿をした人が神楽を舞っている姿だった。建物に忍び込んだ峰田は背の高い宮司が女と絡み合っている現場を目撃する。宮司の女に入れ込んでいる女は、島へ船を渡してくれた青年の彼女だった。同じくその現場にいた青年は宮司に詰め寄るが……なんと刺殺されてしまう。
その隙に峰田は逃げ出し何とか三神と合流。しかし他にも侵入者が居ると感づいた村長が手漕ぎ船で追いかけてくるのだった。咄嗟に洞穴に逃げ込むが、そこは村人する近寄らない天然の迷宮だった。抜け出せるはずがないと踏んだ村長は追うことはしなかったが、今回狙っていたお宝を発信機で目指し、脱出することに成功。
村のことはもう忘れるよう峰田に伝える三神。そして三神は手に入れた目録の中にずっと追っていた黒仏がかかわる村があることを発見するのだった──。
蜘蛛のような人間たちから襲われるところから始まるストーリーが良かった。宮司の女が強烈に印象が残ったが年齢不詳である。毎話伝奇的なオリジナルストーリーが展開されるため見ている側も退屈しない。
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