『憂国のモリアーティ』の魅力 ネタバレ感想

憂国のモリアーティは構成:竹内良輔、漫画:三好輝による漫画です。ジャンプスクエア(集英社)にて2016年9月号より連載中。
コナン・ドイル著の「シャーロック・ホームズ」シリーズを原案としており、ホームズの宿敵であるモリアーティ教授を主役に据えた物語。
アニメ化されており2020年10月から第1期、2021年4月から第2期が放送された。

[st-kaiwa1]シャーロック・ホームズってとっても有名な作品だよね[/st-kaiwa1]

[st-kaiwa2 r]うん、推理小説として頂点といえる程の作品で、何度も映画やドラマのテーマになってるよ。[/st-kaiwa2]

[st-kaiwa1]でも憂国のモリアーティの主人公はホームズではなくて宿敵であるモリアーティ教授がモチーフなんだ![/st-kaiwa1]

目次

憂国のモリアーティ あらすじ

舞台はロンドン。完全階級制度により貴族とその他に絶対的な境界がある時代、主人公は弟ルイスと共に孤児だったが、モリアーティ伯爵家の長男アルバートに伯爵家に迎えられた。しかし、アルバート以外の伯爵家の者たちは孤児を一家の一員として迎え入れることに到底納得せず迫害を始める。

ある日、アルバートの母と弟が主人公を罠に嵌め家から追い出そうとするが、アルバートと共に完全犯罪にて伯爵家の乗っ取りを実行する。アルバートは主人公を伯爵家に迎え入れたのはある理由があった。

死んだ次男ウィリアンと成り代わった主人公は、アルバートとルイスと共に、「ある理念」のもと国を変えてゆく計画を実行する。

登場人物

主人公 ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ

※以下ネタバレを含みます

主人公ウィリアムは弟モリスと共に孤児でしたが、その知能の高さからアルバートに伯爵家へと迎い入れられました。

しかし、それは表向きの理由で、最大の理由はウィリアムの思想にありました。貴族から迫害を受け続けていたウィリアムは、悪い貴族をやっつけて排除すればここは理想の国になる。彼は協会の中、神の目の前で正しく悪の道を説いていたのです。

悪魔が消え去れば人の心は澄み渡り呪いは解ける。この国はきっと美しい。

兼ねてから社会を軽蔑していたアルバートと理念が一致していたため、ウィリアムを受け入れ、ルイスと共に国を変えるための計画を実行していきます。

[st-kaiwa1]理想のためなら殺人もいとわない。アルバートは自分と同じ理念を持ち、更に天才的な知能をもった少年に賭けたんだ。[/st-kaiwa1]

[st-kaiwa2 r]彼らにとっての正義は本当に正しいのかな。[/st-kaiwa2]

諮問探偵 シャーロック・ホームズ

成長したウィリアムは数学の教授を本業とし、私立相談役(コンサルタント)としても活動していました。

しかし、それは表向き。裏では悪に罰を与える「犯罪相談役(クライムコンサルタント)」として、法律では裁けない貴族を私刑による処していたのです。
そんなウィリアムの前に立ちはだかったのが諮問探偵シャーロック・ホームズでした。

シャーロックは切れ者のウィリアムと同等の洞察力を誇り様々な事件でウィリアムの前に立ちはだかった。同様にホームズもただ物ではないウィリアムに興味を持ち、いずれ犯罪相談役としての活動に気づきます。

本作では立場は逆にあれ、やはりシャーロックとモリアーティは宿敵として描かれているのだ。

シャーロックは、ウィリアム同様の切れ者ですが、ウィリアムとは対照的に喜怒哀楽が激しく、ユーモアたっぷりな性格をしています。

冷酷な笑みを浮かべてばかりいるウィリアムとは対照的に描かれていて人間味がありとても魅力的なキャラだと思います(もちろんウィリアムはウィリアムで魅力はあります)。

警察が手に負えなくなった事件を解決する諮問探偵のシャーロック、警察の手に負えない犯罪者を私刑で断罪するモリアーティ(ウィリアム)。

思想は同じように見えますが……アプローチが違いすぎます。あくまで事件として解決を目指すシャーロックと、証拠も残さずこの世から犯罪者を抹殺するモリアーティではやはり相いれない存在。

この二人の対決がこの作品の最大の見どころですね。

アルバート・ジェームズ・モリアーティ

モリアーティ家の長男で、現ウィリアム達兄弟を受け入れた。それも両親達を葬り、モリアーティ家の全てを手に入れるためだった。その好青年っぷりとは裏腹に狡猾さも持ち合わせており、現ウィリアムと理念が一致している。

ルイス・ジェームズ・モリアーティ

ウィリアムの実の弟。幼いころは心臓病を患っていた。兄のウィリアムを慕っており、強い忠誠心も見せる反面、シャーロックに対しては強い嫌悪感を持つ。

続々と登場する腐った貴族たち、断罪し続けるモリアーティ

本作には貴族故に腐った人物が沢山出てきます。彼らは貴族故に猟奇的な殺人を犯しても権力で逃げ切ったりします。読者としては、悪に苛立ち、それをスッパリ断罪するモリアーティに爽快感も覚えますが・・・。果たしてその先に何が待っているのでしょうか。

自分はこの漫画を読んで、デスノートの夜神 月が思い浮かびました。人によって正義とは何か、かたちは違います。しかし、理想の世界を作り出すために狂気を内に秘めたモリアーティはある意味とても魅力のあるキャラでカッコいいです。

キャラにスポットを当て紹介しましたが、様々な事件をモリアーティが様々な事件を解決していく様はしっかり推理物として楽しめますし、シャーロックが違ったアプローチで同時に同じ事件に絡んでくるのも面白いです。

また、 ウィリアムを拾ったアルバートも犯罪卿ジェームズ・モリアーティとして活躍します。

狂気の沙汰ほど面白い。犯罪卿としての暗躍

「毒には毒を」。まさにモリアーティを体現する言葉です。ウィリアムは腐った貴族社会を是正するため、警察や法で裁けない「悪」を自身の手により
裁いていきます。そうです、ウィリアムはダークヒーローなのです。その正義感と冷酷さを伴った人格は幼少期の頃に既に形成されていました。
貴族と入れ替わるため、当時のモリアーティ家に火を放つことに躊躇わず、本物のウィリアンを殺す。モリアーティは悪を裁くためには手段を選ばない、
ある意味サイコパスなのかもしれません。
モデルとなったアーサー・コナン・ドイルの推理小説「シャーロック・ホームズシリーズ」に登場するジェームズ・モリアーティ教授は、ホームズと同等の知能を持った最大のライバルとして描かれており、そのライバルを主人公側にする発想は面白いですね。
しかし、悪を撃つために人を殺す。自身にとっては正義でも敵側にとっては正義とは限らない。本作はウィリアンの内面はほとんど描かれていないのが特徴です。きっと意図的なものだと思いますが、できれば犯罪卿として自身も悪に手を染める葛藤や、変化の過程を見てみたい気もします。

本作はアニメに舞台にメディアミックスで展開されています。最後にどのようなラストが待っているのか…結末まで見守りたいです。

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