異色の青春伝奇ホラー『光が死んだ夏』ネタバレ感想

タイトルと爽やかな装丁に惹かれて読み始めた方も多いのではないだろうか。
「光が死んだ夏」はモクモクれん先生によるホラー・サスペンス・ブロマンスなどのジャンルの作品で、2021年からヤングエースUPに連載されている。累計発行部数は電子版含め55万部を突破しており、次にくるマンガ大賞このマンガがすごい!などの賞にも選ばれている 。

物語は、幼馴染の光が山で行方不明になった後、別のナニカにすり替わって帰ってきたことに気づいたよしきと、そのナニカとの不気味な日常が描かれている。この記事では、この作品の魅力や謎について、ネタバレを含めて感想や考察を書いていきたいと思う。

目次

幼馴染がいつの間にか入れ替わっている!?「ナニカ」の意外な一面も

親友が得体の知れない「ナニカ」と入れ違っている。そのナニカについては本編では明かされていない。そして幼馴染が「ナニカ」と入れ違っていることに主人公よしきは早々に気が付く。最後のオチが「幽霊と入れ違ってました」というありがちなホラーと違い、「ナニカ」とのその後の交流を軸にストーリーは展開してくのである。そして、「ナニカ」は愛嬌のある性格をしており、何故かよしきに好意を持っている。ここら辺もストーリーの核心に迫る部分だ。

1巻では、よしきは光がナニカになっていることを指摘すると、涙を見せる光に心を動かされ、友達として接することにする。しかし、村では変死体や化け物が出たりとおかしなことが起こり始める。よしきは通りすがりの主婦から、光とこれ以上一緒にいてはいけないと忠告される。ある日、光は化け物のような姿でよしきに覆いかぶさり、自分の胸に穴があることを見せる。その中によしきの手を入れさせると、何かがよしきの中に入ってくる、ゾッとするような感覚を味わう。この漫画は、独特の擬音語や擬態語が用いられていて、恐怖感の演出がすごい。

ノウヌキ様とは? 閉鎖的な村に伝わる様々な謎

ノウヌキ様は、よしきたちの集落に存在するといわは「ウヌキ様」という呼称で語っていた。ウヌキ様は忌堂家には手出しをしないという約束をしているようで、忌堂家の人間を拉致したりすることはない。代わりに、人々にとって重要な人物を捕まえて持っていくことを告げられている。ノウヌキ様とは、一種の「地獄のようなもの」であり、山から降りてきたことが、町に起こった異変の原因である可能性もあると、主婦の暮林理恵は危惧していた。忌堂家の過去もいずれ明かされるのかもしれない。

よしきの不安とは裏腹に「ナニカ」との奇妙な友情が育まれていく。本作はどちらかというと二人の関係にフォーカスを合わせた作品なのかもしれない。「ナニカ」自身も自分のことをよく分かっていない節がある。そしてよしきに対しては好意を向けるが……それ以外の者に対しては怒りを見せる場面も。

純粋さと狂気をを兼ね備えており、その先にあるものはよしき自身だけではなく村自体に大きな悲劇が待っているのだろうか。そして少しずつ明らかになっていく謎。伝奇ホラー物としても今後に注目したい。

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