呪術廻戦「天与の暴君」伏黒甚爾 徹底解説 ネタバレ考察

圧倒的な戦闘力で五条と夏油を追い詰めた「天与の暴君」伏黒甚爾。
「術師殺し」の異名を持つ甚爾は”懐玉・玉折”編では最強の敵として大暴れしましたよね。
攻撃的な戦闘スタイルと尖ったキャラクターに強烈な印象が残っている方も多いのではないでしょうか。
甚爾は伏黒恵の実の父でもあります。
非常にアウトローなキャラクターですが、ある意外な一面も持ち合わせております。
今回は伏黒甚爾について強さや人間性について掘り下げて解説していきたいと思います。

目次

プロフィール+性格

天与呪縛

甚爾は生まれつき呪力を持たない代わりに超人的な身体能力を備えた”天与呪縛“という特殊体質の持ち主です。
伏黒恵の実父でもあり、呪術師の名門である禪院家の出身です。
禪院家といえば、呪術界の御三家の一つに数えられる名門です。
しかし「呪力を一切持っていない」唯一無二の存在である甚爾は、名門である禪院家では一族の恥とされ蔑まれました。
「呪力のない俺は透明人間みたいなもんだ」というセリフからもわかるように甚爾は呪力を持たないことにコンプレックスを感じていたのではないでしょうか。
たとえフィジカルギフテッドという圧倒的な戦闘力を手にしていたとしてもです。
日陰者としてひどい扱いをされ続けた甚爾は性格が荒みます。
公式ファンブックによると甚爾の口元にある傷跡は、呪霊の群れに放り込まれた際についたもののようです。
性格が歪んでしまうのもしょうがありませんね。

禪院家での生い立ち


小さな頃から嫌がらせを受けていた甚爾は後に禪院家を出奔します。
以後、甚爾は自分を認めなかった術師たちを見返すために、術師専門の暗殺者として名を馳せることになります。
呪術師よりも俺の方が強いんだ、ということを禪院家に見せつけたかったのでしょうね。
出奔後、甚爾は恵の実母と出逢ったことで一時期性格が丸くなるも、恵を生んだ後すぐに彼女が亡くなったことで再び荒れてしまいます。
恵ママは全くと言っていいほど本編での登場はありませんが、甚爾にとってはとても大切な人だったことがわかりますね。
その後、恵が小学1年生の時に津美紀の母親と付き合うも共に蒸発し、以降は女を転々とするヒモとなりました。
やっていることは完全にクズ男ですね。作者からも”性格が悪い”とされる五条からも「僕が引くくらいのロクデナシ」と言われてしまう始末です。

性格はクズ?ヒモ男だった


しかし作者曰く「リターンのあるヒモ」とのことです。
筋骨隆々でイケメンな甚爾ですが、何より危ない雰囲気に女性は惹かれてしまうのかもしれませんね。
ギャンブルで稼いだ金を使いこみ、女のところを転々とするヒモ男。ちなみにギャンブルの才能はからっきしのようです。
本編でも競馬で予想を外しているようなシーンもあり、仲介業者・孔時雨からは「楽して稼ぐのは向いてない」とまで言い放たれてしまいます。
性格は一言で表すならクズでしょう。過去に実の子である恵を禪院家に売ろうとしているシーンもあります。
しかし一概にも言えないこともあり、後述で考察します。
根底には呪力を持たないことにコンプレックスがあるのではないでしょうか。
やはり幼いころから禪院家に受けた“落伍者”扱いは甚爾の人格を歪ませたのでしょう。

強さ・フィジカルギフテッド

フィジカルギフテッド

甚爾は「天与の暴君」とも呼ばれ「術師殺し」の異名を持つ殺し屋です。
術式や領域展開は使えませんが、天与呪縛により与えられた”フィジカルギフテッド”で常人離れした身体能力と五感を有します。
フィジカルギフテッドによる圧倒的なスピードとパワーに合わせて、天逆鉾万里ノ鎖などの特級呪具を用いるゴリゴリの近接戦闘スタイルが特徴です。
圧倒的なスピードであっという間に距離を詰め、天逆鉾のような超強力な呪具にて一瞬で相手を切り刻みます。
なにより呪力が無いため、通常呪力を追って戦う呪術師たちは甚爾の動きを捉えることはできません。
更に・呪縛で強化された五感は人間の残す臭跡や足跡のみを頼りに追跡可能で、呪力がないにもかかわらず、呪いを認識できます。

呪術師たちにとっては”天敵”


まさに呪術師たちにとっては”天敵”ですね。五条ですら、甚爾の動きは全く読めませんでした。
蘭太の「今の禪院家が在るのは甚爾さんの気まぐれだ!」というセリフも正にその通りと言えますね。
フィジカルギフテッドにより呪いへの耐性も獲得しており、作用を逆転させ相手を無限遠方に吹き飛ばす五条の術式反転「赫(あか)」を受けても致命傷にならないほど屈強な体を持ちます。

超強力な特級呪具の使い手


呪力を全く持たない為、呪具なしでは4級呪霊すら祓えないため「天逆鉾(あまのさかほこ)」や「万里ノ鎖(ばんりのくさり)」など超強力な特級呪具を使いこなします。
特に天逆鉾は「術式の強制解除」という驚異的な効果があり、五条の術式による防御を無効化し痛恨の一撃を与えました。
まさに”鬼に金棒”ですね。
上半身には武器庫呪霊が纏わりついています。
特級呪具を仕舞っておくための呪霊で、利用する時のみ呪霊から特級呪具を出し入れします。
武器庫呪霊自体のサイズをおとして自身の腹の中にしまうことにより、呪具を携帯したまま結界を素通りできます。
結果、甚爾は呪術高専の結界内に特級呪具を持ったまま侵入し、五条への奇襲を成功させました。
ちなみに虫のような蝿頭を大量に飼っており、武器庫呪霊の中に飼っています。
対五条戦では六眼持ちの五条に対して放った大量の蝿頭の中に紛れて距離を縮めて死角から攻撃しました。
また、戦闘力だけではなく、狡猾さも併せ持ちます。
星漿体である天内理子を襲撃した際は天内に懸賞金を懸けました。
懸賞金の時間制限が過ぎることにより五条を油断させる作戦は的中しました。
強さに奢ることなく冷静に五条の力を認めたうえで罠を仕掛ける甚爾は、五条たちにとっては最凶の敵だったといえます。

五条に負けた理由

五条との激戦

過去編にて、星漿体である天内理子を襲撃した甚爾。護衛する五条、夏油それぞれと対峙しましたね。
対五条戦では、圧倒的なスピードと力で五条悟を追い詰めましたが、五条も無限により作られる引力により、全ての物事を吸い込む術式順転「蒼(あお)」で反撃します。
しかし一気に距離を詰めた甚爾は特級呪具「天逆鉾」で五条悟の無下限呪術を強制解除し、五条を切り倒しました。
「天逆鉾」のチート的な能力もさる事ながら、五条が敵に触れられるどころか切り刻まれたシーンは読者に大きなの衝撃を与えましたね。
その後天内を殺害し、夏油を死なない程度に倒した甚爾の前に、倒したはずの五条が再び立ちはだかります。
なんと死の淵で覚醒した五条は反転術式を覚えて復活しました。
甚爾は万里ノ鎖で応戦するも、五条家でも一部しか知られていない虚式「茈(むらさき)」にて体の半身を貫かれ死亡します。
仮想の質量を押し出す虚式「茈(むらさき)」に甚爾は体を貫かれます。
しかし甚爾が負けた大きな要因は何だったのでしょうか。
存在すら知らなかった虚式「茈(むらさき)」が直接の敗因であることに間違いはありませんが、戦闘中に甚爾はある”違和感”を感じていました。

何故負けたのか 捨てきれなかった自尊心


本来甚爾は金のために暗殺を繰り返す非道な人間です。
そして相手の虚をついて襲撃する狡猾さも併せ持っています。
「タダ働きなんてゴメンだね いつもの俺ならそう言ってトンズラこいた」と言っている通り、覚醒した五条とやり合うのは死ぬ可能性があり、割に合わないことを甚爾も感じていたのではないでしょうか。
それもそのはず、甚爾は禪院家で生まれ育っています。
例え自身に呪力がないとしても、呪術に対する知識は深いでしょう。
本編では五条の”無下限呪術”や”蒼”、そして術式反転”赫”の存在まで把握していました。
呪術師としての五条の強さを良く分かっていたし、さらに反転術式の強さも理解していたと考えられます。
しかし最強の呪術師を目の前にし、五条を倒して自分を迫害した禪院家を見返したいという自尊心があることに気づき戦いを続けたのかもしれません。
捨てたはずの自尊心こそ甚爾が感じた”違和感”だったのではないでしょうか。
結果として死を招きました。
”他人を愛する心”を捨て実の子である恵を捨てたことを後悔する念も心のどこかにあったのでしょうか。
まだ残っていた自尊心を肯定したいがために「これでいい」と言ったとも考えられますね。

伏黒恵への愛

垣間見えた親心

五条との闘いに敗れた際に甚爾は死に際に恵の顔が思い浮かべました。
五条に対して「2、3年もしたら俺のガキが禪院家に売られる。好きにしろ」と伝えます。
実質、恵を五条に面倒を見てもらいたいという想いからでしょう。禪院家というクソ溜めのような場所で育ってほしくないという親心が垣間見えます。
甚爾は息子に「恵」という名前を付けました。
我が子である恵には、呪力に恵まれて育って欲しいという願いが込められた名前と思われます。
自身は呪力に恵まれず迫害された生涯を恵にも味わってほしくないという願いがあったのでしょう。
そして甚爾は五条や夏油のことを”恵まれたオマエら”と呼んだ際、忘れていた恵のことを思い出します。
しかし「呪力に恵まれて育って欲しいという願いが込められた名前」を名付けるほど子のことを想っていた甚爾が、なぜ恵を手放し駆け落ちしたのでしょうか。
理由は2つ考えられます。

恵の才能をいち早く見抜いていた


1つ目の理由として、恵が相伝の呪術を持って生まれてきたことをおそらく見抜いていたことです。
もう1つは”恵ママの死”を受け入れられずにいたからと考えられます。
甚爾は恵が自分とは違い術式を持って生まれて来たことがわかっていたと考えられます。
過去の回想で禪院当主の禪院直毘人とのやりとりで「相伝の術式なら8 それ以外でも7はもらう」と提案しています。
これはおそらく相伝の術式を持って生まれたら恵を8億で譲る、という意味でしょう。
対して直毘人は「相伝なら10やろう」と答えます。
そして恵は実際に相伝の“十種影法術”を持って生まれていました。
十種影法術は、禪院家相伝の術式の一つであり、影を媒介とした十種の式神を操る呪術です。
甚爾にとって禪院家はクソ溜めのような場所ですが、それでも相伝を持って生まれた恵なら良い扱いを受けられると考えたのでしょう。
恵にとっても、ろくでなしの自分が育てるよりはマシと考えたのかもしれません。
もう一つの理由”恵ママの死”について考察します。
公式ブックによると、禪院家での生活で荒んだ甚爾でしたが、恵ママとの出会いで丸くなったといいます。
しかし恵ママは恵を生んですぐ死んでしまいます。
五条との対戦後の今際の際に浮かんだ「恵を抱きかかえる甚爾」は、「天与の暴君」からは想像もつかないような優しい表情をしています。

恵ママの存在


恵ママは甚爾にとってとても大きな存在だったのでしょうね。
恵ママの存在を失ったことにより自身を保てなくなった甚爾は、他者を思いやる心や自尊心を捨て、恵ママの存在を忘れるため、ただギャンブルや暗殺を繰り返す日々を過ごしていったのかもしれません。
甚爾は孔時雨との会話で「あー恵みって そうだったそうだった 俺が名付けたんだった」と言いました。
実の子の名前を忘れているのは、親として酷すぎますが、甚爾にとって恵ママや恵と送った日々はあまりにも幸せだった記憶だったのでしょう。
自分も他人も尊ぶことない生き方を選んだ甚爾。失ったものを思いださないように暗示的に恵の存在を忘れ去ったのかもしれません。
悲しい過去を受け止められない甚爾は実はメンタルが弱いのかもしれなませんね。

奇しくも息子と対峙 自害を選ぶ


渋谷事変にてオガミ婆の降霊術で蘇った甚爾は奇しくも恵と対峙します。
暴走モードの甚爾でしたが、目の前にいる青年が我が子であると気が付いた甚爾は「オマエ名前は・・・・?禅院じゃねぇのか よかったな」という言葉と共に自害しました。
甚爾は対峙した恵が相伝の”十種影法術”を使っていることで、相手が自分の息子であることに気づいたのでしょう。
そして恵が伏黒を名乗ったことで、禪院家に売られていなかったことを知ることができました。
禪院家は甚爾にとってはクソ溜めのような場所でした。
いくら呪術を持って生まれた恵にとっても、禪院家は幸せになれる場所ではありませんよね。
我が子を倒すという選択肢は甚爾には無く、恵が”伏黒”として生きていることも知れてこの世に未練が無くなって自害したのではないでしょうか。

まとめ

今回は伏黒甚爾について考察しました。
一見冷徹で暴力的な面が印象強い「天与の暴君」ですが、言動を紐解いていくと亡き妻や実の息子への愛情を心の片隅で持ち合わせていた人物だったことがわかります。
”懐玉・玉折”編を盛り上げたのは間違いなく甚爾ですよね。
恵との親子再会からの自決シーンは感動的でした。
もう本編で登場することはないでしょうが、甚爾の血を継ぎ、相伝も持って生まれた恵はとてつもない潜在能力があると考えられます。
今後の活躍に期待したいですね。

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